2013年8月13日火曜日

縄文語で伝承を読み解く

先日読んで面白かった本がある。

縄文時代の日本には縄文語があり、風土記や記紀に伝わる伝承のいくつかは、縄文語で語られていたものを和語に翻訳したのではないかというもので、それがこの本。


日本の神話に残されている話の筋は、正直、意味不明なものが多い。なんというか、たどたどしいと言うか、すごく強引な気がしたり、違和感を感じたり・・・。そこで、記紀や風土記に残されている伝承を、縄文語の影響を色濃く継いでいるアイヌ語を使って解析すると、驚くほどスンナリ納得できる・・・!

というのが本書である。

このアプローチで因幡の白兎やイザナギ・イザナミの話などを読み解くと、非常に面白いし、すっきりする。

特に気になったのは石切剣箭神社(いしきりつるぎや)のところ。


石切剣箭神社の祭神は、饒速日尊(にぎはやひのみこと)とその御子、可美真手命(うましまでのみこと)。ニギハヤヒの子孫が、古代の有力豪族、物部氏となる。

で、このニギハヤヒと結婚したのが三炊屋媛(みかしきやひめ)で、ミカシキヤは登美霊社にて祀られている。で、このミカシキヤは長髄彦(ながすねひこ)の妹で、ナガスネヒコは神武天皇と壮絶な死闘を繰り広げる記紀神話のなかの最大の抵抗勢力である。

ナガスネヒコについては、謎の神アラハバキ(荒覇吐、荒吐、荒脛巾)がそれなのではないかとの説もあるが、その真偽はわからない。ちなみにアラハバキだが、うろ覚えだが、新編武蔵風土記だか江戸時代の絵図だかに、埼玉県の大宮にある氷川神社がアラハバキ社と記されていた。今でも本殿のとなりに門客人神社としてあるが、そもそもはアラハバキこそが地主神なのではないかと言われている。
ああ、アラハバキの話は完全に脱線である。話を元に戻す。

さて、石切神社では石切劔箭神社の祭神がニギハヤヒとその息子のウマシマデ、関係社の登美霊社にニギハヤヒの奥さんでナガスネヒコの妹のミカシキヤが祀られているのだが、ナガスネヒコの姿だけが見られない。

ここで、冒頭の著者は縄文語(アイヌ語)アプローチを開始する。

アイヌ語で石切は、

i-si-kiri →「その・長い・彼の足」

の意になる。

これはナガスネヒコ→長髄彦、そのままではないか。
これを反対から辿れば、「その・長い・彼の足」を漢字に変換し、長い足(スネ)の男、長髄彦となる。

そして石切神社には石切祖霊殿というのがあり、その祭神は石切大神とされている。
※場所については未確認です。

で、系図とアイヌ語の意味からして、石切大神というのがナガスネヒコのことなのではないか、となる。
神武天皇に敵対したナガスネヒコを表立って祀ることができず、このような形で残った可能性もある。

と、以上は簡単に説明したが、本書はなかなか興味深かった。

本来の日本語は口承で、和語とは大きく異なったのかもしれない。その可能性は充分にあると思う。縄文語アプローチはかなり面白いと思う。


ただ、残念なことに私にとってはとっつきにくい。
面白いと思うのに・・・どうやら私はこの分野が苦手なようである。

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