そもそも、毛長(けなが)という名称については、「毛長川」という川の名前としては以前から知っていた。この流域には古墳が多いらしい。私の住んでいる川口市から都内に向けて流れている川で、古墳の時代から交通の要所として栄えてきたらしい。
舎人の方へ行く用事があり、偶然、毛長神社という名前を知った。
神社の名称として毛長が使われていることで、
「もしかして、髪の毛にご利益ありか?」
と興味を持った。
男性なら必ず、“髪の問題”に興味を持つ時期はあるはずだ。
ご利益があるのなら、ぜひお願いしますというところだ。
ちなみに、北区の王子神社の境内に、関神社という神社がある。
王子に来た。写真は関神社。鰹木3、男千木。 pic.twitter.com/UvLzXufejI
— 上根 又三郎 (@k_matasabur) 2013, 7月 22
ここは「髪の祖神」と崇められていて、一部の噂には毛生え祈願で来る人も・・・という話もあるが、私は騙されない。
そもそもここは蝉丸法師がカツラを考案したところからスタートした神社だし、毛髪供養のための毛塚があったりする。どっちかというと、というか正直、理美容師やカツラ業者側の立ち位置であり、カツラ業者にご利益をと考えると、薄毛の人にとっては反対の方に作用しそうじゃないか。
ということで、注目が集まったのが毛長神社。
毛が長いと書くだけあって、いかにも期待が膨らむ。
ところがところが、毛長の由来を調べたところ、
「とある女が不幸な理由(破談やら自然災害など)により、沼で命を落とす。後日、流れず漂っていた長い髪を、きっと女のものだということで丁重にまつりあげた」
というような話だった。
・女の髪を祀る毛長神社と毛長沼の謎
話の照準が、毛に集中しすぎている。
というか、残っているのが、毛しかない。
毛が失われるのは悲しいが、毛以外が失われる方がもっと嫌だ。
これは“毛”とは名につくものの、抜け毛予防やら養毛にご利益なんていう、軽い話ではないようだ。
意外すぎる、というか思いのほかに重い話だったのでびっくりした。というか、ちょっと怖い。髪の毛だけが漂うに至る人体のプロセスを想像すると、ゾッとする。
しかしながら、この話にはいくつかバリエーションがあるようだが、いずれも怨念やら祟りやら怖い話系の方につながっていない点から考えるに、きっと丁重に供養されたか、或いは御神体とされた毛そのものと女の死には直接の関連がないのかもしれない。という方向性でお願いしたい。
それにしても、沼や池にまつわる話には、女性が身を投げるような話が多いように思う。
私の地元である川口市には、こんな話が伝わっている。
「ある時、お殿様一行がやって来た。お殿様の子供も馬に乗っていたのだが、運悪く落馬してしまい、命を落としてしまった。乳母はたいそう悲しがり、近くにあった池に身を投げて死んでしまった」
この池は姥が池と名付けられたが、かつて7~800坪近くあったとされるが、江戸の末期の時点でほとんど埋められ僅かに形ばかりになっていた。今では当然、跡形もない。
今ではあまり想像できないけれど、かつての関東の低地のあたりでは、そこかしこが水辺だった。江戸時代の初期の頃までは、多分そうだったと思う。
埼玉には大宮から川口にかけて見沼という大きな沼があったし、千葉と茨城の堺のあたりは、(今でも割と多いと思うが)沼やら川やらが本当に多い。東京も、日比谷のあたりまで湊が入り込んでいて、江戸城の目前にまで海が迫っていた。
それらは埋め立てられ、町になったり、水田や畑に利用されるようになる。
沼なんかが多かった時代は、子供なんかの事故も多かったんじゃないかな~と思う。
溜池やら川であれば、溺れてしまったら遺体は上がる。
でも、沼だとどうだろう?
水田利用されているような場所なら、或いは割と見つかりやすいかもしれないが、大きな沼で泥の深い所にはまってしまうと、長期間見つからないかもしれない。
神隠しの何割かは、そんな事故が関係しているのかもしれない。
沼というと暗くジメジメとしたイメージがまとわりつく。私たちの中に、沼にまつわる悲しい思い出が刷り込まれているのかもしれない。
今回、この毛長の話を書くにあたり、困ったことが1つだけある。
神と変換しようとすると、髪が出てきてしまうところだ。
例えばカミカクシと入力しようとすると、髪隠しと出てしまう。
髪の呪いかもしれない。
毛長神社の記事を書いた翌々日に、都知事選で舛添氏が当選したことも、何か関係があるのかもしれない。
0 件のコメント:
コメントを投稿